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僕の前から、航がいなくなった。
「奈津、お薬を飲みましょう」
「や……」
「眠らないと、ふらついてますよ」
満月先生がそういって、薬を飲ませた。
眠るのは、怖い。
夢を、みるから。
「せん、せ、……」
「大丈夫です、私はここにいますよ」
眠りにつくまで、先生が手を繋いでくれた。
つ、と涙が溢れた。
「あの、ね……ぼく、」
「ゆっくりいいですよ」
「や、だった……航に、」
「奈津?」
本当はね。
「航に、あい、た……い……」
嫌われたく、なかったのに。
夢の中、航と先生が話をしているのが聞こえた。
内容は、わからなかったけど、航は、泣いているみたいだった。
「奈津、」
航が、頭を撫でてくれた。
やさしい夢。
左手が、暖かかった。
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