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side.航



様子が可笑しいとは、思っていた。

奈津は俺を部屋に入れなくなり、口数が減った。
明らかに眠れていないようで、ふらふらしていた。

俺が問い詰めるのも、無理はなかった。



「やっ……う、っ……」
「奈津、起きて」
「ひっ……!」



放課後、誰もいない保健室で、奈津は夢にうなされていた。
揺すり起こすと、恐怖で目が揺れていた。



「ね、なんかあった?」
「っ………」
「言って」



奈津はうつむいたままだった。
ちらりと見えた首筋に、赤い痣が見えた。
俺のじゃ、ない。



「……それ、」
「あっ……!」
「どうしたの」
「こ、には、関係、ないっ……」



………なんだ、それ。



「俺の他に、好きな人でも出来た?」



奈津からの返事はなく、慌てているだけだった。



「……わかった」



俺と一緒にいたがらないのは、このせいなのだろう。
奈津の隣にいる資格を、俺は失っただけだ。



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