1
 

『放課後、昇降口にきて』



始まりは、航からのそんなメールだった。

いつもは保健室まで迎えに来てくれるから、どうしたんだろうと思った。
でも、きっと僕にはわからない事情が航の住む世界にはあるだろうし、と思って、何も疑わなかった。

それが、間違いだった。



「………」



一人歩いて、昇降口に向かった。

後ろからやってくる足音。
振り替える間もなく、腕をくん、と引かれた。



「こ、っ……」



引きずり込まれたのは、空き教室。
突然の暗闇に、目をつむった。

背中に感じるのは、冷たく硬い感触。
目を開けた先にあったのは、知らない笑顔だった。



「……かーわいい」
「なっ……だ、れ……っや!」



首もとに、息がかかった。

たすけて、たすけて。
頭の中には、その言葉はしか浮かばなかった。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -