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side.修
部屋のベッドに寝転んで本を読んでいたら、こん、と控えめに音が鳴った。
咄嗟に身体を起こす。
「朝倉、さん……あの、」
「……どうぞ?」
少し遅れてドアが開き、葵の姿が見えた。
「お菓子、出来たので……どうぞ、」
「……結衣は?」
「あ、部屋に……」
葵が持ってきたのは、シフォンケーキ。
生クリーム付きで、美味しそうだ。
二人はよく、一緒にお菓子を作ったりしている。
ベッドに座る俺に近づき、つい、と差し出した。
「ふうん、」
皿を受け取り、指で生クリームをすくって、一口舐めた。
甘ったるいそれをまたすくって、葵の唇に塗り付ける。
「んっ……」
「随分と、仲が良いみたいだねえ?」
猫なで声を出して、葵をベッドに組み敷いた。
サイドテーブルに皿をおいて、葵の唇についた生クリームを舐めた。
舌を這わせて、口内にいれる。
「んっふ、ん……っ、あ、隣っ……ゆいちゃん、がっ」
「お前が静かにしてたらいいだろ?」
俺だけに、縋ればいい。
誰とも仲良くするな。
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