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side.修



「ただい、ま……」
「お帰りーお兄ちゃん!」
「あ……お邪魔、してます……」



夕方、早めに自宅に帰った俺を待っていたのは、妹と葵の二人だった。



「さっきそこで会ってね、前言ってた約束、一緒にお菓子作ろーってなったの!」
「あ、う、」



俺と葵の両親は同業者で付き合いも長く、自然と子どもも付き合いがあるわけで。
歳が離れた中学生の妹にとって、葵は懐きやすい人物ではあった。



「結衣、葵くんに無理言ったんじゃないだろうね?」
「違うよお、葵くんもいいよって言ったもん。ねっ?」
「あ、うん、約束したし……」



葵は気まずそうに、俺をちらちら見ていた。
俺はにこり、と笑ってやる。
その笑顔を見て、葵が戸惑ったのがわかった。

家族の前と葵の前で、大分違うから。
どっちが素かは、自分だけが、わかってる。



「美味しそうな匂いだね。できたら僕にも食べさせてよ」
「うんっ」



嬉しそうに返事をした結衣の頭を撫でた。
妹は好きだ、素直で可愛いから。



「じゃ、葵くん。ゆっくりして行ってね」
「あ……」



貼りつけた笑顔を、残した。



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