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side.朝倉
自宅に帰る前、実家が経営している病院に勤める看護師から、葵が運ばれた事を聞いた。
電話で父親に確認すると、確かなようで。
走って病室に向かって、荒い息を整えないままドアを開けた。
「父さんっ……葵くん、は」
最悪な顔色。
痩せた身体。
苦しそうな寝顔。
死んでしまうんじゃないかと思った。
「……葵…」
父親が病室から出て、葵の身体を抱き上げた。
くたりとしたまま、俺に身体を預けている。
俺の背中に、その小さな手は、回らない。
「葵、葵っ……」
必死に、名前を呼んだ。
眠れなくなるほど、食事ができなくなるほど、葵を追い詰めたのは、俺。
「いやだ、っ」
らしくない、と思う。
けれど葵が倒れたと聞いたときから、身体の震えが止まらない。
葵が、ほしくてほしくて。
失うことの恐怖に、俺は怯えることしかできない。
それから、何時間経っただろう。
夕焼け空も暗闇へと変わった。
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