4
「……あや」
「!」
放課後、一人で帰った。
家の前に涼がいた。
目を合わせないようにして、横を通り抜けた。
「待てよっ」
「っ……離して、」
掴まれた腕を、思い切って振り払った。
会ったところで、言われることはわかってる。
だからせめて、聞きたくなかった。
まだ、涼を好きって気持ちが、消えてないから。
「っ………」
「あやっ!」
零れそうになる涙をこらえて、家の中に入った。
鍵を閉めて、ずるずるとその場に座り込んだ。
わあ、と泣き出してしまった。
家の人がいないのをいいことに、うわごとのように涼の名前を呼び続けた。
「りょっ……りょ、うっ……涼、」
涼。
りょう、
だいすき、だったよ。
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