5
side.譲
小さな身体に、縋る事しかできなかった。
「俺、怖いんだ……っ」
「……何が、怖いんですか」
「また、大切なやつが、いなくなるの、」
律を失って、陸に出会えて。
律を、いつか俺は、忘れてしまうのだろうか。
そうやって俺の大切な人は、俺の大切『だった』人になっていく。
陸も、いつかは、
「お願いだからっ……どこも、行かないで、俺んとこいて、」
「……はい」
「ごめん……俺、こんな弱くて、ごめんな……」
「……僕が、強く、なります」
両頬が手に包まれて、じっと雨宮に見つめられた。
泣いてる。
いつもは俺が、泣くな、と慰めているのに。
雨宮は泣きながら笑って、泣きじゃくる俺を、支えようとする。
「僕の前なら、弱くても、泣いても、いいですから……」
「っ……雨宮」
「だから、ずっと傍に、居させてください」
強がりな俺と、強くなりたい雨宮。
弱い雨宮と、弱さを見せない俺。
結局は、弱い俺たちは、
依存しながら、生きていく。
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