3
 

金曜日。
次の日が土日ということもあって、僕はよく先生の家に行く。

今日は家にいないみたい。
忙しいんだな、申し訳ないな、と思いながら、一つの案が浮かんだ。
先生疲れてるかもしれないし、ご飯作ったり掃除したりしといてあげよう。
バスで近くまで行って、ポケットの中の合鍵をぎゅっと握った。

エレベーターで上階へ。
先生の部屋の前にきて、鍵を差し込もうとして、



「わ、わっ……」
「なっ……」



突然、ドアが開いた。
……先生が目を見開いていた。



「え、せん、せ……?」
「………」
「今日、いない、って」
「……悪い、今日は帰ってくれねぇか」
「っ………」



もう一度、悪い、と言った先生がドアを閉めようとする。
目を合わせてくれないまま。
何かがおかしい。



「待ってくださいっ……」



無理矢理ドアを開けて、中に入った。
先生は俯いたまま、動かない。



「先生、おかしいです、なにか……」
「……お前には関係ないことだから」
「でもっ」
「関係ないっつってんだろっ……」



先生は怒鳴った後で自分にびっくりしたように、僕の顔を凝視した。
僕は黙って、泣きそうな気持ちを抑えて、先生を見据えた。



「あ……あまみ、や」
「……先生」
「ごめん、ごめんな、俺、っ」



震える手が、僕を包んでくれた。



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