3
次の日。
朝も一緒に学校に行ってた僕たちだけど、涼が迎えに来る前に家を出た。
教室でも顔を合わせなかった。
いや、合わせられなかった。
「綾希、どしたの?涼と喧嘩した?」
「航……」
クラスメイトの高梨航が、話し掛けてくれた。
航は僕が涼を好きだと知る、数少ない友人だ。
「そんな、とこ……でも大丈夫。なんとかする」
「そう?あんま無理すんなよ」
じゃ、と航は教室を出ていった。
保健室に行くんだろう。
(いいなあ、)
お互いに思い合えて。
好きな人に好きって言われて。
女の子が好きな涼にそれを期待するのは、無理なのかもしれない。
「う、」
じわり、涙が出た。
まだ友達のままがマシだった。
好きな気持ちを隠して、傍にいれれば良かった。
(もう、無理だ)
壊れた関係は、もう、元には戻らない。
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