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side.葵
僕には、なにもない。
友達はいつしか疎遠になった。
女顔のせいでよく襲われる。
人も怖くなった。
「……ナカ、緩すぎ」
にやりと笑いながら言う、朝倉修。
すべて、この男が、奪った。
「どうやって抱かれたの?ここ突かれたの?気持ち良かった?」
「ひあっ、あっ、ン……っ」
何度も身体を重ねた末、良いトコロは知られている。
「鎖に繋げて閉じ込めたら、誰にも足開けないよなあ?」
違うのに。
どうしてそんな、ひどい事言うんだろう。
涙が一つ、流れた。
いっそ、とも思う。
あなたしか、縋れない。
あなたに愛されたら、僕はそれで、満たされるかもしれない。
「ん、きす、してぇっ……」
「………どうしたの急に」
「おねがっ……はやく、してよぉっ」
少しだけ、戸惑った顔。
ゆっくり近付く、顔。
「う、ふぅっ、うぇー…っ」
「……汚ぇ泣き顔」
涙を見せるのも、あなただけ。
ねぇ、早く。
僕を愛してよ。
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