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「ちょ、あや!?えっ…なん、」
「っ………ごめ」
一回でたら、なかなか涙が止まらなくなった。
夕日も沈みかけた住宅街の通りでなんて、ムードもくそもない。
「や、ごめん。聞かれたくなかったよな、ごめん……って、もしかして」
「………!」
ばれた?
涼が、好きだってこと。
「あやが好きな人って……道元?」
「っ………」
道元ってのは僕と涼の隣のクラスの子で、涼が好きな女の子だ。
たしかにすごく可愛いし、人気がある子だ。
「なーんだ、あやも道元のこと、」
「違うっ……」
悔しくて。
悲しくて。
どうしようもなくて。
何で気付いてくれないのって。
どうにでもなれって、思ってしまって。
「りょう、だよっ……」
精一杯、睨み付けてやった。
泣きながらのそれは、滑稽に見えるかもだけど。
「僕が好きなのは、涼だよっ……」
「――――おいっ!」
言って、逃げるように走った。
後ろを振り返ることは、なかった。
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