5
side.譲
すう、と眠ってしまった雨宮の頬を撫でた。
微かに睫毛が震えて、深い息に戻る。
「………」
蹲るようにして眠る雨宮。
腕が、目の前にある。
そっと袖を捲ると、真新しい傷があった。
俺の知らない間に、知らない事で、傷付いた跡。
「……ばか、やろ」
言ってほしいのに。
頼ってほしいのに。
甘えてほしいのに。
それさえされる、資格なんてなかった?
いや、雨宮は、
「迷惑だなんて、思ってねーよ……」
だから、もっと。
俺のものになってよ。
「……あいしてる」
なんでも背負おうとする小さな肩を、そっと撫でた。
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