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僕の好きな人には、
―――好きな人がいる。



「あや、聞いてる!?」
「聞ーてるよ。……で?その後どうなったって?」



一番、嫌な話題だ。
好きな人の、好きな人へ向けた、恋愛相談。

僕から好かれてることを知らない涼は、相変わらず目を輝かせているわけで―――まあ、ノンケの彼に僕の気持ちなんて伝わりにくいだろうけど。



「でな、俺映画誘ったんだ」
「へえ、頑張ったじゃん!で、で?」
「………駄目だった。部活あんだって」



学校の帰り道。
涼が落胆した。

高校生のくせに明るく染めた髪がふわふわ揺れている。
反対に僕は真っ黒な髪。

背だって小さい方だし、長身な涼と並んだら兄弟みたいだ。



「ま、部活なら仕方ないよ。嫌って言われたわけじゃないんだしさ」
「そうかな……そうだよな、俺頑張ろ!」



にか、と笑う涼の顔。
無邪気な笑顔は嫌いじゃない。
だけどその笑顔は、俺に向けられたものじゃない。



「あやも好きな人とかいねーの?彼女とかさ」
「うん……」



あ。
泣きそう。



「俺、あやに相談してばっかだしさ。たまには相談とかしろよな!」
「………るよ、」
「え?」
「いるよ、好きな人」



涼の、鈍感。



「まじで!?誰!?」
「………」
「え、何で教えてくんね、って……え?なに、泣いて」



気付いたら、泣いてた。



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