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side.綾



行きたいところ、行きたいところ、と考えて、



「………うーん」
「ないの」
「近くになんかないの、そこから選ぶー」



都築が煙草を灰皿に潰して、部屋の中に入ってきた。



「近くねぇ……コンビニ、本屋……あ、温泉」
「温泉っ!」
「行く?」
「俺行ったことない!」
「まじで」
「うん、連れてってくれる人いなかった、し……あ、傷、」



はっ、と気が付いた。
温泉ってことは人がたくさんいて、俺の傷だらけの身体が、



「………ん、」



ソファの隣がきしりと沈んで、都築の口が重なった。
優しいそれは、きっと俺を安心させるため。



「……予約したら、個室とれるけど」
「……ん……」
「行く?」
「行きたい、行く」
「ん」



都築と一緒なら、初めてでも、怖くない。



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