5
side.譲
「雨宮、」
「ん……」
揺すると、目を擦りながら雨宮が起きた。
「あ……せんせ……」
「悪い、遅くなって」
「せんせ、だぁ……」
「っ……!」
ふにゃ、と幸せそうに笑って、抱きついてきた。
寝呆けてるのかよくわからないけれど、ぎゅうぎゅう力を込められた。
「おかえり、なさい……」
「ただいま」
抱きしめ返すと、頬をすり寄せられた。
「……今日、忘れてた」
「……何していいか、わかんなくて……これ、くらいしか……」
「ん、さんきゅ。めちゃくちゃ嬉しい」
一瞬、雨宮が泣きそうな顔になった。
「寂しかった、です」
「ん」
「会いたかった、」
「ん、俺も」
三日前、あんなに嫌がったのは。
今日という日を、一緒に迎えたかったからなのか。
「誕生日、おめでとうございます……」
「……ありがと」
前へ top 次へ