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side.譲
それから二日、連絡もしなかった。
正確には、連絡する時間さえなかった。
気付いたら帰宅できる日で、気付いたら、昼過ぎだった。
今日の夕方には帰れそうだな、と出張先のホテルで一息ついた。
「………ん」
短い着信音。
雨宮からだった。
『今、メールして大丈夫ですか』
学校は昼休みの時間だ。
少し頬が綻ぶのがわかって、電話番号を出した。
数回のコール音と、
『……っはい』
「よ。飯食った?」
『あ……はい…』
「メール、なに?」
『あの……今日、何時に帰ってくる、かなーって……』
声が段々小さくなる。
あんなことあってからだから、気まずいんだろうなぁと思いながら。
「夕方には帰れるよ」
『……お家で、待ってても、』
「いーよ。……何、そんな寂しかった?」
からかうように言うと、わずかの沈黙。
……怒った、か?
『もしかして、今日、』
「ん?」
『……や、なんでも、ないです』
わだかまりの残るまま、電話が切れた。
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