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side.航



クローゼットを、そっと開けた。
布団を頭から被った奈津が、蹲って眠っていた。
頬に残る涙の跡が痛々しい。



「………もう、」



布団ごと抱き上げて、クローゼットから出した。
ベッドにそっと下ろすと、奈津が目を覚ました。



「こ、う……?」
「ただいま」



気付いたら、雨は止んでいた。

奈津が腕を伸ばしてくるから、俺も抱き締めた。
首にしがみつく腕の力が、いつもより強い。



「こわ、かった……っ」
「もう大丈夫だよ」
「ん……」



背中を擦ってやると、少しだけ力が抜けたみたい。



「音怖くて、クローゼットの中入ったの?」
「っ……だって……」
「……かわい」



ちゅっ、とキスした。
恥ずかしそうに赤くなった奈津に、もう恐怖の色は見えない。

明日はきっと、晴れる。



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