5
side.綾
無意識って、寄ってくるって!
言われるまで気付かなかったし、言われたら言われたで恥ずかしい。
「離せーっ…!」
「そっちから寄ってきたくせに」
「もう言うなっ」
「甘えてもいいから」
離れようとしても、引き寄せられる。
頭を優しく撫でられたら、何もできない。
「今更恥ずかしがっても、前から知ってんだし」
「う……」
「いいから、もう寝な」
都築の匂いは、落ち着く。
だから本当に、無意識に、甘えていたのかもしれない。
「都築……」
「ん」
「おれ、こうやって寝るの、すき……」
返事が聞こえなかったのは、俺が眠りに落ちたからか。
ただ優しい手の動きだけは、覚えていた。
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