6
 

朝倉とすれ違ったとき、桜木が泣いてしまったことを聞いた。
ご飯もあまり食べられず、夜もなかなか眠れなかったということも。



「泣いたんだって?」
「……都築がっ、言わない、から……帰ってこないって」
「……言っても泣いてただろ」
「う、」



既に涙目だ。
俺を必要としてくれる、大切な存在。
俺がいないと駄目だなぁと思う、自分なりの優越感。

愛おしくて、愛おしくて。
そっと、唇を重ねた。



「んぅ、」
「俺も、帰りたかった」



たった1日だけなのに、



「ありがと。待っててくれて」
「……うん」



桜木が微かに、抱き締め返してくれた。



「……ただいま」
「……おかえり」



ここが、俺の帰る場所。



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