6
 

side.恭平



「………なんてな!驚いた、か……」



寝たフリをした俺が目を開けると、目を真っ赤にした満月が驚いた顔をしていた。



「なっ……え、」
「……うわ、満月泣いてくれたんだ」
「ないっ…泣いてない!」



くるりと背を向けられてしまった。
細い肩が、微かに震えていた。



駅に向かう途中、信号無視した車とぶつかった。
咄嗟に避けたお陰で死にはしなかったけれど、腕をぶつけてしまい、割れた硝子で切った。
頭も軽く打っていたから、大事をとって今日は入院となったけれど、俺自身はピンピンしていた。

母親から満月が向かっていると聞いて、ちょっと驚かしてやろうと思った。
ただ、それだけなのに。



「……ごめん、満月」
「うるさいっ……しね!」



満月はこっちを向いてくれなかった。



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