3
 

side.航



「ばっかじゃねーの!」
「痛っ」



春川から頭を殴られた。

久しぶりに一緒にゲームをして、久しぶりに、たくさん笑った。
会話を交えていると、自然と奈津の話になって。
喧嘩して、避けちゃってる、と正直に話したところ。



「お前は言葉が足りねーの!ちゃんと言ってやらなきゃ、不安がるだろ!」
「……はい」
「どうせ、浅井の言葉は聞かずに一方的に苛立ったんだろ?」
「う……」



……また殴られた。



「ばっか、余裕なくなると周りに当たるのは高梨の悪いとこ!さっさと謝んな」
「………はい」



春川が言うこと、何も間違ってなかった。
奈津にとっては俺だけが、甘えられる存在なのに。



「馬鹿だなぁ、俺……」
「……今頃気付いたか」



言葉が足りなかった。
配慮も足りなかった。
奈津がうまく自分の感情を言葉にできないことは、よく知っていたはずなのに。
一方的に、突き放した。



「俺、帰る」
「ん」



奈津に、会いに行こう。



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