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side.満月



恭平の姿を見たとき、本当は、すぐに抱き締めたかった。
抱き締めて、キスをして、そのまま離れたくなかった。

けど、出張の度にそんななってたら迷惑だと思った。
恭平は仕事に行ってる、仕方ないって割り切ってた。
俺もいい加減大人になんなきゃって、恭平に依存しなくてもいいようにって、思った。

代わりに、恭平の匂いの残るシャツを抱いて眠った。
泣かない日は、なかった。



「ありがと、そんな思ってくれて」
「……ごめ……っ」
「何で謝んの、俺だって、めちゃくちゃ会いたかった」



恭平が落ち着かせるように、背中を撫でてくれた。



「我が儘じゃねぇよ、満月の気持ち、正直に言っていいから。俺、こいびとだろ?」
「う、……」
「な?」
「会いた、かった……むり、」



相槌をうちながら、髪を優しく透かれる。



「そばに、いたい……無理だけどっ、行かないで、ほしい……っ」
「うん」
「う、うー……っ」
「……俺も会いたかったし、寂しかったし、満月の傍にいたい。どこにも行きたくないよ」



我が儘じゃない?
恭平もそう、思ってくれてた?

涙が、止まらなかった。



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