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「……こわ、かった」
「ん」
「痛いの、やだもん……」
「頑張ったな」
「……もうしないからっ」
「はいはい」
ぽんぽん、と頭を撫でていると、朝倉がやってきた。
「結果、出たよ」
「なんだって?」
「AB型のRh-」
「あーる……?」
「簡単に言うと、珍しい血液型ってこと」
桜木はぴんとこないようで、首を傾げた。
ふと、朝倉が俺を見て、意味深に笑った。
「珍しいから輸血も少なくて……だから定期的に、自分の血液を預けに、」
「そっ、それ、って、」
「ん?定期的に、注射、しにきてねってことだけど?」
桜木が隣で真っ青な顔をしながら、ぎゅううっと手を握り締めてきた。
朝倉と俺はその様子に、苦笑しっぱなし。
朝倉は大げさに言っただけで、確かに珍しい血液型だけど、そんな必要はない。
「ま、またあ……っ?」
泣きそうな桜木を横目に、もう少しだけ、黙っておこうかなぁと思った。
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