4
side.満月
恭平の家は、駅から歩いて5分くらいのところにある。
絶対後で昼飯おごってもらおうと、恭平の家まで続く交差点に差し掛かったときだった。
「……なんだ……?」
人が異様に沢山いた。
明らかに何かあったような様子だった。
近づくと、同じ歳くらいの男が2人、話をしているのが聞こえた。
「さっき運ばれたの、同じ学校のやつだろ?」
「俺も知ってる。たしかD組の……みな、皆川、だったっけ」
さっと血の気がひいた。
運ばれた?
どこに?
なんで?
いつ?
路肩に停められた乗用車。
警官に話す中年男。
ガラスにかかる、赤。
そういえばさっき、近くに救急車が通ったっけ。
「きょう、へいっ……」
俺は走りだした。
コンクリートに、ひしゃげた恭平の携帯だけが、残されていた。
前へ top 次へ