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side.綾



目の前のお医者さんが、何かを取り出した。



「ち、注射、っ!?」
「え?うん」



都築がさも当たり前のように言ってくる。



「注射、するの!?」
「正確には採血ね」



お医者さんがにこやかに訂正した。

いや、聞いてない!
血液型の調べ方を知らなかった俺も俺だけど。

……普通に考えたら、血調べるから、注射、するよな……。
すっかり舞い上がってて、そこまで頭がいってなかった。



「力抜いてね、注射は苦手なのかな?」
「や、待って、まだっ」



注射しなきゃなら血液型なんて調べなくてよかったのに!

腕に近づく針が見えて、目線が定まらない。
なに、どこ見たらいいの、



「ばか、針見てたら怖いだろ」



只でさえ怖がってるくせに、と都築がぐりんっと顔を背けさせてくれた。



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