3
 

保健室に迎えにきてくれたときから、航の様子がおかしかった。
ぼんやりしてるし、慌てたり、色々。
心配になって航に詰め掛けていると、どくん、と一度だけ心臓が高鳴った。



「……へ、なに……っ?」



身体が熱くなる。
風邪のそれとはどこか違っていて、自分の身体に起こった変化にパニックになった。



「や、なに、熱っ……」
「奈津、っ」
「ひゃうっ!」



航が心配そうな顔で、僕の頬に触れてきた。
普段の行動なのに、僕は、何故か。



「奈津……?」
「う、ぁっ……さわ、ないで……っ」



びくりと反応してしまって。
どうしちゃったんだろう、と思考のまとまらない頭で考えていると、



「ごめんっ」
「う、え……?」
「俺、奈津のコーヒーに、わざとじゃないんだけど、媚薬、いれちゃって……」
「びやく……?」
「……変な気持ちになる、くすり」
「!?」



確かに、航が少し触れるだけで、どうしていいかわからなくなる。
自分のが反応してしまってることに薄々気付いて、でも恥ずかしくて、ぎゅっと拳を握って耐えた。



「ほんと、ごめん……体調とか、」
「だい、じょっ……だから、さわ、ないで……」



話すのも一苦労。
息も絶え絶えになってしまった。
怒るとか許すとか依然に、身体から沸き上がる熱をどうにかしたい。



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