3
 

午前10時。
待ち合わせは駅前。

春らしい晴天だった。
最近暖かくなって、ぽつぽつと桜が咲き始めていた。
駅前は休日ならではの賑わいを見せていた。
電車の動く音、子どもの泣き声、車のクラクション、救急車のサイレン。
街の喧騒をBGMに、俺はベンチに座っていた。

今年は桜、少し咲くの早いんだっけ、とニュースをふと思い出した。



「遅いな……」



気付けば20分。
恭平は時間にルーズなやつでもない。

寝坊か、とメールを打ったけれど、10分経っても返事がこなかった。
電話をかけると、無感情な女性が淡々と話すだけだった。
どうやら、電源が切れているらしい。



「なんだよ、自分が呼んだくせに……」



さすがに少しばかり苛立って、立ち上がった。

どうせ携帯の電源切ったまま寝てるんだろうと。
そんなことを考えて、俺は恭平の家へ向かうことにした。



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