6
 

side.恭平



満月がまた泣き出すもんだから、俺は思わず、華奢な身体を抱き締めた。
言っておくが俺と満月はこいびと同士ではなく、一方的な俺の片思いだった。
こっちは心臓が飛び出そうだったが、満月は驚くことに、抱き返してくれた。



「きょう、へっ……恭平、」
「うん」
「おれ、っ……」
「何も言わなくていいよ」



伝えたいことは、伝わっている。
震える身体が孤独は嫌だと、けれどそれ以外に術がないと、伝えた。
俺はさらに強く、見えない何かから守るように、満月を抱き締めた。



「……決めた。俺、教育大行く。今から猛勉強する」
「恭平……?」
「そんで……うん、そういうわけ」



咄嗟に言葉を濁した。
『一生一緒にいる』なんて、告白以外の何物でもない。

満月は察してか否か、ただ小さく、笑った。
同じ未来を歩むのは、もう少し、後の話。



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