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side.恭平



「進路希望調査、どーする?」



高校3年の春。
俺は満月と帰路に着いていた。

事件後、一時は入院し、精神的にぼろぼろになった満月だったが、今となってはかなり回復していた。
回復したのは良かったけれど、前と同じようにはいかなかった。



「俺はもう決めてるよ」



満月が力なく笑った。
他人行儀な笑い方は、俺の心に刺さる。
満月は事件以来、自分と他人との間に壁を作っていた。
まるで、一人になりたいように。



「どこ?俺、決めてない」
「……教育大」
「隣街の?」



負けじと俺は踏み込もうとするから、満月は最近は観念したようだった。



「じゃ、先生になるんだ」



満月を引き取った遠い親戚は、どこぞの学校長ということを聞いていた。
恩返しにも、満月が教育大に行くつもりなのは、薄々感じてはいた。



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