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side.満月



あれは、俺たちがまだ高校生の頃。

恭平は相変わらず俺にとって一番の友達だったし、それ以上でも以下でもなかった。
恭平の俺に対する想いに気付くのは、もう少し後のことだ。

俺の家庭はすでに悲惨で、恭平と一緒にいるときだけが一番楽しかった。
最も、本人にはそんなこと言わなかったけれど。



「満月、明日暇?」
「明日?……土曜か、何もないけど」
「ちょっと付き合ってくんね?明後日、うちの母親の誕生日なんだ。家族総出で祝うって親父が聞かなくて」



だから、誕生日プレゼント一緒に選んでくれよ。
学校の帰り道、歩きながら恭平がそう言った。



「お前ん家仲良いよな……つか、そゆもんは女に聞けって」
「誰にだよ!お願い、一緒に行ってくれよー!」



手を合わせられ、上目遣いで見られた。

……ま、いいか。
どうせ暇だったし。

恭平と一緒に過ごすのは、空気が心地いい。



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