5
「眠れる?」
「……うん……」
「眠れない?」
「うん……」
「どっちだよ」
けれど、眠くなってきているのは確かなようで。
背中に回された手の力が、段々弱くなってきた。
「都築……」
「ん?」
「ねむ、い」
「ん、寝な」
「う……」
擦り寄るように、顔を首元に埋められた。
「眠い……?」
「まぁな」
「ここ、いる、?」
「ん」
「じゃ……一緒、いて……」
すぅ、と桜木が眠った。
だから、いつもそんな素直だったらいいのにと、起こさないように苦笑した。
うなされていたら、起こしてあげよう。
どうか、怖い夢は見ないよう。
「都築……」
むにゃむにゃと、寝言。
ぶは、っと思わず笑ってしまった。
俺も、ゆっくり、眠ろう。
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