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軽くシャワーを浴びた桜木が戻ってきた。
どこに座ろうか迷っている様子で、「おいで」とまた呼び寄せた。

ぽたぽたと、濡れた髪から水が滴る。
伏せた目は、俺と合わさることはなかった。



「ほら、こっち向いて」
「………」



ソファの下、床にぺたりと座って、向かい合わせになった。
頭に乗せただけのタオルを引ったくって、わしゃわしゃと髪を拭いてやる。



「髪柔らかい」
「………」
「痛くない?」
「痛いよ……」
「嘘つけ」



顔を伏せてるから表情は見えないけれど、さっきよりは元気になったようだ。



「顔あげて、前髪乾かす」



少しだけ顔が上がった。
きゅっと目が瞑られていて、構わず髪を拭いてやる。

相も変わらず、綺麗な顔をしてるなと思う。
しかし、今は極整な顔が恐怖で歪めるられている。
同情とか言うよりも、そんな顔はさせたくない、という思い。



「都築……?」
「………」



考え込んでいたらいつの間にか手が止まっていて、桜木が不安そうに目を開けた。
桜木の両頬に手を添えたまま、思わず唇を重ねた。



「ん、」



一瞬のそれのあと、目があった。



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