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side.綾
「大人しく寝ろっ……」
「えー」
「えーじゃない!」
俺よりも随分と身長の高い都築を、ようやくベッドに寝かせた。
薬は俺のが残ってたはず、ご飯とか、氷とか、
「あ、雑誌読みかけだった」
「起き上がるなっ!……俺が取ってくるから!」
リビングの、今しがた都築が読んでいた雑誌を引ったくって、投げつけた。
けれど都築はそれを読まず、俺の顔をじっと見たまま。
「……なに」
「や、慌てすぎじゃね?たかが微熱だし」
「っ……心配してんのが、わかんねぇのかっ」
馬鹿にされた気がした。
俺のせいで風邪ひいて。
微熱だしそんなにきつくはなさそうだけど、やっぱり身体に負担はあって。
心配で、心配で。
都築がいなくなったら、俺、
「……買い物、行って来るっ……」
「あ」
泣きそうになって、逃げるように家を出た。
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