5
 

「……え」



寝てる。
風邪薬は眠くなるとは言え、熟睡するのは早い。



「着替えろって」
「うぅ……」
「脱がすぞ」



桜木が抵抗しないので、手早くシャツを脱がした。
濡れたタオルで軽くふいてやる。



「………」



切り傷、打撲傷、火傷の跡。
細い身体は皮膚が突っ張っていたり、ぼこぼこしていたり。
それは、ひどいもので。



「やっ……」
「桜木」
「やだ、見ない、でっ……」



寝呆けているのか、何なのか。
ポロポロ泣きながら、自分の身体を抱き締めていた。
慌てて新しい服を着せて、それでもなお震えて泣く桜木を抱き締めた。



「ごめん。もう、見えねぇから」
「ふぇっ……う、」
「もっかい寝ろ、な?」



ふるふると、頭を横に振られた。



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