3
 

「……起きろ、桜木」
「……う…」



昼過ぎ。
飯食わせて、薬飲ませないと。
汗もかいてるし、着替えさせたりとか。



「飯、食えそう?」
「……お腹、すいてない…」



熱のせいで頬が蒸気して、目がとろんとしている。
触れた手は、熱かった。



「んー…でも、ちょっとだけでも、な?」
「うん……」



朝倉の言うとおり作った、卵粥。
少しだけスプーンに掬って冷まして、



「口あけて」
「う……」
「ほら」



微かに口が開いて、スプーンを差し込んだ。
ゆっくり、咀嚼していく。

……親の気分だ。
や、少し違う。
素直な桜木は、なんだか、かわいくて。



「もっかい。一口」
「……あー…」
「よし」



餌付けしてやってるみたい。
小さな容器の半分くらい食べて、桜木が限界を訴えた。



「じゃ、薬飲も」
「くすり……」
「そ。ほら、これ」



水の入ったコップと錠剤を手渡した。
桜木がしばし固まって、おずおずと口を開けた。



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