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大学もない休日。
朝っぱらから、桜木の調子がおかしい。
「何、眠いの」
「んー……」
ソファに座ってゆらゆら。
寝起きが悪いのはいつものこと、けれど今日の桜木は何か違う。
ぼんやりしているというか、ふわふわしているというか。
日だまりの猫のような。
「おい、ここで寝んな」
こてん、とソファに横になるもんだから、煙草を消してベランダから中に入った。
「……けほ、っ」
「………」
「もっかい寝る……」
よたよたと起き上がって、寝室に向かおうとして、
「うわっ……」
ふらりと桜木の身体が傾いで、倒れたところを抱き込んだ。
「……おま、」
「はぁっ……は、」
「熱、あんじゃねーか」
固く目を瞑り、荒い息を繰り返す。
苦しそうに、ぎゅうっと服を掴んでいたのが、なんだか痛々しかった。
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