5
side.恭平
あれから満月が安心して眠るまで、何度も身体を重ねた。
今は隣で、無防備な寝顔をさらしている。
「穏やかな顔、してんなあ……」
「ん……」
前髪を払うと身動ぎされ、思わず苦笑した。
こんな安心しきったような顔を見せるのは、俺の前だけだ。
いつもはしっかりしてる満月が泣くのも、俺の前だけだ。
たったそれだけだけど、すごい特権。
「……かわい」
触れるだけの、キスをした。
満月が身体を丸めて、擦り寄ってくるもんだから。
そのまま抱き込んで、また一眠りすることにする。
腕の中にある小さな温もりを、絶対に離さないように。
「おやすみ」
大切に、大切にしてやりたい。
こう思うのは、お前だけだから。
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