4
side.恭平
ベッドが軋む音が響いた。
「やぁっ、あっ、」
「っ……」
「恭平、っ……」
甘い声で名前を呼ばれるのは、嫌いじゃない。
けれどその声には、まるで暗闇の中から呼ぶような、不安が入り交じったもので。
「ん、っ、あぁッ」
「俺が、わかる?」
「んっ」
「ここにいる。お前を今抱いてんのは、俺」
「きょう、へっ、あッ」
「そう」
快楽に声をあげ、潤んだ目をした満月が、頬に触れてきた。
確かめるように撫でて、泣きそうに顔が歪んだ。
「ほら、泣くな」
「うっ……えっ、く」
「俺もうやばいから」
「ひぁっ、あっ、う、」
動きを速めると、満月が腕の力を強くした。
「おれ、っ……きょうへ、だけ……っ」
「……?」
「恭平、だけっ……きょうへ、しか、いらなっ……」
「っ……」
「あ、んぁっ、あぁぁッ」
俺だって、満月だけだ。
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