3
side.満月
もっと、俺を満たして。
隙間を埋めるのは、お前しかいないから。
「は、っ……ん、ぁ」
「好き」
「あっ、」
「あいしてる」
ベッドに運ばれて、服を脱がされて。
うわごとのように、恭平が言葉を紡いだ。
俺は必死に、恭平にしがみついた。
いなくなってしまわないように。
言葉を、聞き逃さないように。
「あぅっ……あ、っ」
「満月」
「きょう、へ……」
身体を滑る恭平の手が、ひどく優しい。
この手がいつか離れてしまうんじゃないかと、不安で押しつぶされそうになる。
涙が溢れて止まらない。
涙の止め方がわからない。
記憶の忘れ方も。
これからも、残り続けるのかと。
「ずっと、傍にいる」
まるで、わかってるみたいに。
「一人で、泣いたりすんな」
ひどく、優しい。
「あいしてるよ」
俺を、満たす。
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