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side.恭平



「……びっくりした」
「………」



夜の訪問者は満月。
俯いたまま、玄関先に立っていた。



「言ってくれれば迎えに、っわ」
「………」



黙ったままずかずか家に入ってきて、俺の腕を引っ張っていく。
……これは、いつものあれだ。
わかっているから抵抗せず、満月のさせるがままにする。

ソファに座らされ、話を、と口を開いた瞬間に、



「う、わっ」
「………」



押し倒されるように、抱きつかれた。
首にぎゅうっと腕を回される。



「……満月」
「………」
「もう泣いていいぞ」
「っ……」



微かに震える背中を撫でて言うと、嗚咽を噛み殺す声が聞こえた。



「ひっ、ぅ……っえ」
「どうした?なんか、怖いことあった?」



満月が弱っているときは、優しく聞いてやる。
こくこく、と僅かに首が縦に振られるのがわかった。



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