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side.恭平



「今からそっち行くわ」
『……うん』
「なんか買ってくるか?」
『あー…』



仕事が終わって、満月に即電話。
ようやく今週末、金曜日の今日は満月の家に行くことにする。



「適当になんか買ってくる」
『………』
「満月?」
『あ……なんでもない』



歯切れの悪い感じ。
心なしか、声のトーンが低い。



「………」
『………』



嫌な沈黙。
満月は色々溜め込む方だ、何か思うことがあっても、なかなか言わない。



「今日都合悪かった?違う日でも、」
『そう、じゃなっ……けほっ、』
「………」
『けほ、っ……はぁ、』
「……あと5分で行く」
『ちょ』



満月の返事は聞かずに電話を切った。

……風邪ひいてんなら最初っから言えよ。
でも満月が言わないのは、きっと俺に迷惑をかけたくないから。
そこらへんは理解してるつもりだから、咎めることはない。



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