3
side.綾
「や、直ちゃっ……」
「……綾が悪いんだよ」
「うっ、あッ…」
あっという間に服を脱がされて、俺は直ちゃんに犯された。
初めての感覚に、どうしていいか、わからなかった。
直ちゃんの言葉の意味が、理解できなかった。
「綾、かわいくなったから」
「はっ……あ、ぅっ、」
「我慢出来なくなっちゃった」
「やあッ、あ、っ」
「……弟みたいに、思ってたのにね」
直ちゃんの、おとこの顔。
それは涙でぼやけて、はっきり見えなかった。
何でこんなこと、とか。
どうして俺に、とか。
わけわかんないことばっかで。
体内で動く直ちゃんの感覚を、処理できなかった。
上がる嬌声は自分でも聞いたことがないもので、けれど耳を塞ぐことは許されなかった。
ナカを突かれて、襲ってくる痛みと快楽を、耐えた。
「やだ、っ……なおちゃ、あッ、」
「……綾、可愛い」
「あ、んぁっ、やあッ」
「みんなには、内緒だよ」
「やっ、だめ、出っ……」
―――みんなには、内緒だよ。
言えるわけない。
逃げられる、わけもない。
黙っておくしかなかった。
俺にはそれしか、できなかった。
その日、俺は裏切りを知った。
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