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side.綾
「あーっ、負けた…」
「綾、弱すぎ!」
「直ちゃんが強すぎなだけだろ、俺初めてするもん」
「俺も初めてだけど」
「………」
一緒にゲームしたり、話したり、勉強を教えてもらったり。
本当の兄弟みたいだった。
きっと直ちゃんも、そう思ってた。
「そんな拗ねた顔すんなって」
「いたいいたい!」
直ちゃんが笑いながら、からかうように頬をつねってきた。
痛くないけど、わざと言ってやる。
お互い笑って、それは、いつもの日々で、
「………」
「………なお、ちゃん?」
突然、真剣な顔をされた。
初めて見るようなその表情に、びっくりした。
「……え、っ」
固まったままでいると、そのまま、押し倒された。
直ちゃんの顔が近付いて、唇を重ねられた。
「ん、っ……なお、ちゃ…っ」
「………」
初めてのそれと、直ちゃんのいつもと違う雰囲気とで、頭はパニックだった。
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