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「……ちょっと買い物行って来る。すぐ戻ってくるから待ってて!」
ご飯を食べて、部屋。
航が突然そういった。
僕も、と言う前に航は言ってしまった。
……なんだろう。
適当にテレビを見ていたら、すぐに航は戻ってきた。
「よし!行こ!はい、虫除けスプレーかけるよー」
「え、わわっ、な、どこに」
「花火!」
航が袋を抱えていた。
僕がぽかんとしている間に、航が腕をひいて歩きだした。
「あそこ、公園がいいな」
寮から出て少し歩いた所にある公園。
街灯で少しだけ照らされてて、いつもと違う雰囲気だ。
航が蝋燭を地面にたてて、火をつけた。
「座って、はい、花火ー」
「え、はなび」
「火つけるよ」
「えぇっ」
しゃがまされて、ひょろりとした花火を手渡されて。
これ、火つけたら、ぶわあって……。
「ちょ、待っ、」
「じっとしてて」
「あ、う」
航が一緒に手を握り込んできたから、振り払えない。
ぽう、と紐の先に火がうつってきた。
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