6
 

一人、満月先生の部屋。
学校だと騒がしいし、他の生徒も来たりするから、その配慮。

一人なのは怖いけれど、頻繁に満月先生がやってきてくれた。
だから、大丈夫。



あの日、満月先生を無意識に傷つけてしまった。
気付いたら、先生のきれいな手に、赤が滲んでいた。

だから、怖くなった。

また、眠って。
怖い夢を見たとき。
無意識に先生を傷つけてしまうかもしれない。



(駄目)
(先生は、大切だから)



傷付くのは、僕一人だけで十分だ。





「……寝てますね」
「っ!」
「あ……起こしてしまいましたか」



ごめんなさい、と満月先生は僕の頭を撫でた。

ベッドに座って、横になっている僕を見下ろしている先生。
さっと、血の気がなくなった。
僕、寝ちゃってたんだ。



「っあ、駄目、」
「え?」
「先生、怪我」



頭ん中ぐちゃぐちゃで、単語でしか出てこなかった。

身体を起こして先生を見たけれど、怪我はしていないようだった。



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