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side.満月



あの日から奈津は、眠れなくなってしまった。

まず寝るのを嫌がった。
けれどふらついていたものだから、紅茶に睡眠薬を混ぜて飲ませた。
それでも奈津は目を真っ赤にして寝るのを嫌がった。

夢がそんなに、怖いのだろうか。



「奈津、明日から学校をお休みしましょう」
「……え」
「私の家に、いてください」
「………」



奈津はただ、小さく頷いた。

学校にいても、状況は変わらなかった。
今は家で、誰とも接触しないままに、ゆっくり休ませたがいいと思った。



「……ごめん、なさい。迷惑かけて、」
「何言ってるんです」



もう3日はまともに寝てない。
それでも、気遣いを忘れない、優しいこの子。

どうしてこんなにも―――苦しまなくてはいけないのだろう。



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