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side.恭平
疲れてるでしょう、早く帰りなさいと言われ、俺は早々に家に帰された。
疲労が溜まってたのは事実で、お言葉に甘えて帰らせてもらう。
……帰る途中、保健室をちらりと見ると、窓越しに満月と目が合った。
すぐに、目はそらした。
「………開けて」
「………」
夜。
突然の訪問者は満月。
控えめにコン、と扉を叩かれる。
「恭平……」
「………」
「……ごめん…」
声が聞こえなくなって、帰ったんだろうと思う。
またリビングに戻って、続きの本でも読もうとした。
……いや、まさか、な。
「………」
玄関に戻ってそっとドアをあげると、そのまさかで。
満月が座り込んだまま……寝息をたてていた。
まだ乾いていない涙が、頬に残っている。
……こんなとこで寝たら、襲われても文句言えないだろーが。
起こさないように、そっと身体を抱き上げた。
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