2
side.恭平
「満月」
「………」
ずっとこの調子。
満月はソファに座る俺から距離を取るように、デスクで仕事中。
確かに、俺から言い出して約束破ったのは悪いと思ってる。
満月に心配かけたのも。
だからこうして謝りにきたのに。
「……なんか言えよ…」
「………」
苛々する。
同じ職種だ、今の時期が忙しいってくらい十分に理解してくれると思ってた。
最近の睡眠時間はかなり短かったのに、それでも寝る間を惜しんで満月に会おうとしたのに。
俺だけじゃん、必死なの。
なんでわかってくんねぇの。
「……もーいい」
もうすぐ、浅井も来てしまう。
俺は立ち上がって、保健室を出ていく。
「………恭平の、馬鹿」
満月の呟いた声は、はっきり聞こえた。
前へ top 次へ