1
side.満月
「みーつき」
「………」
「ねぇって」
「………」
「……はあ」
恭平の溜め息に、視界が霞んだのがわかった。
今、喧嘩中。
でも俺は絶対悪くない。
お互い社会人で、思ったように会えないことは仕方ない。
学校で会ってるとはいえ、かれこれ2週間くらいはプライベートで会ってない。
それにはお互い限界を感じていたようで、やっと時間が取れたときは嬉しかった。
明日家行くな、と恭平が言って。
俺も待っていた、のに。
「ごめんて。最近、徹夜ばっかだったから」
恭平は、来なかった。
俺は何かあったのかと心配で、メールや電話して。
結局、寝てたらしい。
―――で、今に至る。
奈津が来るより早く朝っぱらから保健室に来て、俺に謝ってる。
俺は無言のまま。
だって、
楽しみ、だったのに。
前へ top 次へ